骨粗しょう症の治療について

骨粗しょう症とは

「骨の生活習慣病」ともいわれ、
いまや50歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症とも言われています。

骨粗しょう症イラスト

骨粗しょう症にどんな印象をお持ちでしょうか?
「年だから背中が曲がっても仕方がない」「自分は牛乳をしっかり飲んでるし、骨は丈夫」という話をよく聞きます。しかし、それは誤解です。
そもそも、人間の骨の量は20歳代でピークに達し、その後は徐々に減っていきます。骨の量が減ったことで、骨の質が悪くなり骨折しやすくなったり、身体を支えられず背骨が曲がってしまうのが骨粗しょう症です。
男性、女性、また若い世代にも骨粗しょう症になっている可能性はあります。 まずは自分の骨の状態を調べることが大切です。

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骨粗しょう症の検査・治療について

定期的に骨の量の検査をしましょう

骨粗しょう症は、糖尿病や高血圧症のように、薬を飲みながら長期間治療する必要がある病気です。薬で進行を遅らせることができます。

  • 骨量がもともと少ない人や、減り方が激しい人は早く治療することで骨粗しょう症の進行を防ぐことができます。
    また、近年では骨粗しょう症を治療する薬も開発されていますので、より早期発見、早期治療が大切です。
  • 現在行われている主な骨密度の測定方法には以下のようなものがあります。
    • 1. DEXA法(腰椎・大腿骨頸部)(当院)
    • 2. MD法(手関節・手背)
    • 3. 超音波検査(かかと)
  • 骨粗しょう症は海綿骨といわれる柔らかい骨の割合が多い部位に起こりやすいといわれています(これは言いかえると骨折しやすい部位と考えられます) 代表的な部位は脊椎大腿骨頸部です。この2つの部位の骨密度を調べないと、正しく評価できません。骨粗鬆症ガイドラインでも評価にはDEXA法が推奨されており、超音波法や手関節・手背は推奨されておりません。
  • 当院では精密な骨密度測定装置「米国GE社 PRODIGY(プロディジー)」を設置し、DEXA法による骨粗しょう症の診断及び治療を行なっております。

当院の骨密度測定装置 米国GE社 PRODIGY(プロディジー)の特長

米国GE社 PRODIGY(プロディジー)
  • 骨折が発生しやすい腰椎部、大腿骨部の骨密度を被ばく量の 少ないX線を使用し直接測定可能な装置です。
  • 検査は、約3~5分以内で行なえ、痛みもありません。

検査をご希望の場合は、お気軽に当院スタッフまでお申し付けください。

当院では日本骨粗鬆症学会認定医と骨粗鬆症マネージャーが在籍しています
(骨粗鬆症マネージャーリエゾンサービスの取り組み)

  • 骨粗鬆症リエゾンサービスとは、医師と医師以外のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する骨粗しょう症の予防と治療および骨折防止の取り組みのことです。すでに英国、豪州、カナダではこのようなサービスが実施され、多職種連携による骨折抑制を推進するコーディネーターの活動によって、骨折発生率が低下し、トータルでは医療費も少なくて済むことが報告されています。
  • 当院で開始したリエゾンサービスは、担当マネージャーが患者さんの状態(骨粗しょう症の評価や手術の有無など)を把握した上で、患者さん本人あるいはご家族とコミュニケーションをとります。
  • 骨粗しょう症の治療には薬物治療、運動療法、食事療法などがありますが、その具体的な内容を説明し、日常生活の注意点や最適な薬物の選択などをアドバイスします。そして最大の課題は、骨粗しょう症治療の継続にあります。適宜カウンセリングを行い 2回目、3回目の骨折を予防するための治療が継続できるようにマネージメントを行ないます。
  • 医師だけでは到底困難な骨粗しょう症治療のマネージメントですが、専門知識のある骨粗鬆症マネージャーがキーパーソンとなり、医師や他病院・施設と連携をとりながら積極的に活動を行なっていくことで、一人でも多くの患者さんが骨折しないように、寝たきりにならないようにできればいいと考えています。

また1人でも多くの方に骨粗しょう症を知っていただきたいと思い、毎月「ほんじょう骨コツニュース」という広報誌を発行しております。

骨粗しょう症は、糖尿病や高血圧症のように、薬を飲みながらコツコツ治療する必要がある病気です。根気よく一緒に治療していきましょう。

今後10年以内の骨折発生リスクを 調べてみませんか?

FRAX画面イメージ

FRAX(fracture risk assessment tool)はWHOが開発した「骨折リスク評価法」です。
FRAXは40歳以上の方を対象にしており、12の質問に答えるだけです。
この評価法を用いると、その人の今後12年間の骨折のリスク診断が可能になります。

<FRAXの12の質問項目>

  • ① 年齢
  • ② 性別
  • ③ 体重
  • ④ 身長
  • ⑤ 骨折歴
  • ⑥ 両親の大腿骨近位部骨歴
  • ⑦ 現在の喫煙の有無
  • ⑧ 糖質コルチコイドの有無(※1)
  • ⑨ 関節リウマチの有無
  • ⑩ 続発性骨粗鬆症の有無(※2)
  • ⑪ アルコール(一日3単位以上)(※3)
  • ⑫ 骨密度(BMD)
  • ※1 現在のステロイド服用、あるいは過去に3か月以上の服用の有無
  • ※2 Ⅰ型糖尿病、甲状腺機能亢進症、45歳未満の早期閉経など 骨粗しょう症を招く病気の有無
  • ※3 ビール換算で毎日コップ3杯以上のアルコールを摂取するかどうか
  • ※4 大腿骨頸部の骨密度(またはBMI) BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
FRAX®
骨折リスク評価ツールはこちら ››

FRAX®評価結果の見方

FRAX結果イメージ FRAX結果イメージ

この結果を参考に、当院では更に精密な検査(骨密度測定・血液検査)を実施し、治療が必要かどうかを正確に判断しています。

骨粗しょう症は、残念ながら他の検査に比べ受診率が少なく、多くは骨折してはじめて気付く恐い病気です。
FRAXで骨折リスクが高く出て心配な方は、是非一度、骨密度の測定を行ってみてください。

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